昨年秋にアニメが放送されていたらしい。
もうお決まりになりつつある異世界転生もの。
受験生だが短大にも合格しそこそこな人生を送っていた主人公は交通事故に遭い、好きだったゲームの悪役に転生してしまう。
『悪役令嬢もの』とジャンルを作りたくなるくらい悪役令嬢がタイトルに入っている作品は多いのだが、この悪役令嬢(王女)は他の悪役令嬢が可愛く見える。
それほどに極悪非道である。
人の感情を逆撫でし傷付け、貶める事に心血を注いでいる感がある。
人の生命を弄びケラケラと笑える少女…いやぁ怖い。
『即死チート』の高遠夜霧くんに「死ね」と言って欲しいレベルである。
その極悪非道王女に転生してしまった高校生。
この子は逆に非常に心優しく正しい子である。
何より王女として生きる『覚悟』が素晴らしい。
前世でもたかだか18年しか生きていないししかも庶民とは思えないほど、国のため民のために生きようとする。
このコミックに本当に惹かれたのは、第一王女と騎士団との非公式の対話のシーンを読んだ時だった。
その世界に生きる人々のそれぞれの立場とそれにかけている覚悟。
けれどやはり外せない人の情。
それが見事に描かれていたと思う。
自分の立場では幼い王女を危険に晒した事を恥じ、危険な場に来た王女を叱り、助けられた事に戸惑いを感じていた騎士団長が最後に王女に礼を告げつつ
「息子が…騎士に(なりたいと言うのを聞けて)と…生きてて良かった」と涙を溢すシーンでは自分は子供はいないが涙腺が刺激された。
騎士団長の持つ自分の仕事や立場への強い責任感と誇り・愛情。
それを息子にも伝えたいとずっと思っていたのだろう。
思いもかけない機会に息子は父親を心から慕い尊敬していると知れて、これ以上にないくらい嬉しいはずだ。
この漫画は特に登場人物全員のそれぞれの『覚悟』の描き方がとても素晴らしいと思う。
人によってそれは職務に、であったり愛する者に、であったり様々ではあるが、全員が心に決めた事を遂行するための覚悟を決め、それに向けての努力も怠らない。
とてもきちんと生きている人々なのだ。
そんな中の1人であるこの王女が今後10年経って、いきなり極悪非道のラスボスに変化する事はないと思うが、そこはどう描いて行くのか?が気になっている。
こちらの原作者は前に紹介した『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』と同じ方らしい。
あちらは特に悪女だとは思わないが、こちらの転生する前の王女は本当に悪い。
悪女や悪役令嬢ではなく本気でクソである。
#天壱 #悪役令嬢 #ピッコマ #アニメ化