写真は男女のように見えるが、歴とした男同士。
先に紹介した『あの日の誓いを果たすために』と同様、転生物+歴史物の中華BLである。
こちらは敵国の皇帝と第一皇子(?)の恋愛なので、成就するまでが非常に過酷。
次々に襲い来る非情な運命に翻弄される主人公2人があまりに気の毒で途中こちらの心も折れそうになった。
皇帝(蕭予安)の方は現代の大きなグループ会社の社長で、ハマっていた小説の中に転生してしまった。
基本的に楽観主義で思い遣り深い温かい人柄。
物語の途中まで小説通りに話を進めようとしているが、ほぼ全て空回りに終わっている。
皇子(晏河清)の方は隣国から皇帝の国に捕虜として囚われて来た寡黙で真面目で一途な人物。
捕虜なので酷い扱いを受けていた河清に仕返しをされないために助けようと動く予安は、知らず知らずのうちに河清からの好感度が爆上がりになっている事に気付かない。
やがて予安の治める国は河清の国に攻め滅ぼされてしまうのだが、河清の予安への想いは消えず…。
ひょんなきっかけで再会した2人はお互いの想いをを確かめ合い、共に河清の治める国に帰るのだが、前皇帝を快く思わない(主に南燕国の)人々に苦しめられる事になる。
特に予安は大切な人たちを次々に喪うので、物語の開始以前に予安の国によって同じ目に遭っている河清より同情してしまう。
(しかも予安は転生しているので本人には全く責任がない)
最終的に追い詰められた予安は自ら生命を断ち、その状況を作った自分と環境が許せない河清は冷酷な君主になっていたのだが、そこに別の小国の君主として存在していた同じ名前の人物に憑依してしまった予安が戻って来る。
終盤、名前だけが同じ(と思っている)相手に腹を立てて予安を追放した河清にどうやって生まれ変わりを気付いて貰うかにハラハラさせられる。
予安が帰って来た事を知って以降の河清の溺愛ぶりはちょっと、いやかなり可愛い。
元々真面目で一途なので予安への執着も垣間見せてはいたのだが、目の前で愛する予安の自害を見た所為で今回は何より「離したくない」が先に立つらしい。
予安は「大丈夫」と言いつつ無茶をするタイプなので、心配で堪らない気持ちはよく分かる。
最終局面で反逆者を炙り出す時もその反逆者を葬るために、河清の目の前で崖から飛び降りるなどという無茶をする。
河清は真面目な分だけ思い詰めると暴走するきらいがある。
予安への告白などは読んでいるこっちが赤面するほど、熱烈を通り越して変態の域に入るようなものだったし、予安を生き埋めにしたとされる敵将は滅多刺しにした挙句、城門から吊るしたらしい。
逆に予安はお気楽で優しく柔軟な思考の持ち主なので、河清の暴走しがちな生真面目さをやんわりと受け止めて、優秀な皇帝と皇妃として良い国を築いて行くのだろうと思う。
この作品、ピッコマでは完結しているのだが、シーモアではまだ中盤くらいのようだ。
コミックスも刊行されているのは知らなかったが、流石に手に取る事はないだろうw
それにしてもタイトルの『悪役として生き残る方法』だが、小説の中の予安は悪役らしいが現世の社長が憑依して以降の予安は全く悪い人ではない…と言うより寧ろ善人なので、誰も悪役としては生き残ってない。
善人として生き残った事になる。
その方がめでたいし平和なので良いのだが、他国のコミックのタイトルが何だか内容にそぐわないなぁ…と思う事は結構多い。
#ピッコマ #シーモア #中華歴史BL