ひまブログ

アラフィフのおっさんです

『国と国』〜悪役として生き残る方法〜

写真は男女のように見えるが、歴とした男同士。

先に紹介した『あの日の誓いを果たすために』と同様、転生物+歴史物の中華BLである。

こちらは敵国の皇帝と第一皇子(?)の恋愛なので、成就するまでが非常に過酷。

次々に襲い来る非情な運命に翻弄される主人公2人があまりに気の毒で途中こちらの心も折れそうになった。

 

皇帝(蕭予安)の方は現代の大きなグループ会社の社長で、ハマっていた小説の中に転生してしまった。

基本的に楽観主義で思い遣り深い温かい人柄。

物語の途中まで小説通りに話を進めようとしているが、ほぼ全て空回りに終わっている。

皇子(晏河清)の方は隣国から皇帝の国に捕虜として囚われて来た寡黙で真面目で一途な人物。

 

捕虜なので酷い扱いを受けていた河清に仕返しをされないために助けようと動く予安は、知らず知らずのうちに河清からの好感度が爆上がりになっている事に気付かない。

やがて予安の治める国は河清の国に攻め滅ぼされてしまうのだが、河清の予安への想いは消えず…。

ひょんなきっかけで再会した2人はお互いの想いをを確かめ合い、共に河清の治める国に帰るのだが、前皇帝を快く思わない(主に南燕国の)人々に苦しめられる事になる。

特に予安は大切な人たちを次々に喪うので、物語の開始以前に予安の国によって同じ目に遭っている河清より同情してしまう。

(しかも予安は転生しているので本人には全く責任がない)

 

最終的に追い詰められた予安は自ら生命を断ち、その状況を作った自分と環境が許せない河清は冷酷な君主になっていたのだが、そこに別の小国の君主として存在していた同じ名前の人物に憑依してしまった予安が戻って来る。

終盤、名前だけが同じ(と思っている)相手に腹を立てて予安を追放した河清にどうやって生まれ変わりを気付いて貰うかにハラハラさせられる。

 

予安が帰って来た事を知って以降の河清の溺愛ぶりはちょっと、いやかなり可愛い。

元々真面目で一途なので予安への執着も垣間見せてはいたのだが、目の前で愛する予安の自害を見た所為で今回は何より「離したくない」が先に立つらしい。

予安は「大丈夫」と言いつつ無茶をするタイプなので、心配で堪らない気持ちはよく分かる。

最終局面で反逆者を炙り出す時もその反逆者を葬るために、河清の目の前で崖から飛び降りるなどという無茶をする。

 

河清は真面目な分だけ思い詰めると暴走するきらいがある。

予安への告白などは読んでいるこっちが赤面するほど、熱烈を通り越して変態の域に入るようなものだったし、予安を生き埋めにしたとされる敵将は滅多刺しにした挙句、城門から吊るしたらしい。

逆に予安はお気楽で優しく柔軟な思考の持ち主なので、河清の暴走しがちな生真面目さをやんわりと受け止めて、優秀な皇帝と皇妃として良い国を築いて行くのだろうと思う。

 

この作品、ピッコマでは完結しているのだが、シーモアではまだ中盤くらいのようだ。

コミックスも刊行されているのは知らなかったが、流石に手に取る事はないだろうw

それにしてもタイトルの『悪役として生き残る方法』だが、小説の中の予安は悪役らしいが現世の社長が憑依して以降の予安は全く悪い人ではない…と言うより寧ろ善人なので、誰も悪役としては生き残ってない。

善人として生き残った事になる。

その方がめでたいし平和なので良いのだが、他国のコミックのタイトルが何だか内容にそぐわないなぁ…と思う事は結構多い。

#ピッコマ #シーモア #中華歴史BL

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『覚悟』〜悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜

昨年秋にアニメが放送されていたらしい。

もうお決まりになりつつある異世界転生もの。

受験生だが短大にも合格しそこそこな人生を送っていた主人公は交通事故に遭い、好きだったゲームの悪役に転生してしまう。

 

『悪役令嬢もの』とジャンルを作りたくなるくらい悪役令嬢がタイトルに入っている作品は多いのだが、この悪役令嬢(王女)は他の悪役令嬢が可愛く見える。

それほどに極悪非道である。

人の感情を逆撫でし傷付け、貶める事に心血を注いでいる感がある。

人の生命を弄びケラケラと笑える少女…いやぁ怖い。

『即死チート』の高遠夜霧くんに「死ね」と言って欲しいレベルである。

 

その極悪非道王女に転生してしまった高校生。

この子は逆に非常に心優しく正しい子である。

何より王女として生きる『覚悟』が素晴らしい。

前世でもたかだか18年しか生きていないししかも庶民とは思えないほど、国のため民のために生きようとする。

このコミックに本当に惹かれたのは、第一王女と騎士団との非公式の対話のシーンを読んだ時だった。

その世界に生きる人々のそれぞれの立場とそれにかけている覚悟。

けれどやはり外せない人の情。

それが見事に描かれていたと思う。

自分の立場では幼い王女を危険に晒した事を恥じ、危険な場に来た王女を叱り、助けられた事に戸惑いを感じていた騎士団長が最後に王女に礼を告げつつ

「息子が…騎士に(なりたいと言うのを聞けて)と…生きてて良かった」と涙を溢すシーンでは自分は子供はいないが涙腺が刺激された。

騎士団長の持つ自分の仕事や立場への強い責任感と誇り・愛情。

それを息子にも伝えたいとずっと思っていたのだろう。

思いもかけない機会に息子は父親を心から慕い尊敬していると知れて、これ以上にないくらい嬉しいはずだ。

 

この漫画は特に登場人物全員のそれぞれの『覚悟』の描き方がとても素晴らしいと思う。

人によってそれは職務に、であったり愛する者に、であったり様々ではあるが、全員が心に決めた事を遂行するための覚悟を決め、それに向けての努力も怠らない。

とてもきちんと生きている人々なのだ。

 

そんな中の1人であるこの王女が今後10年経って、いきなり極悪非道のラスボスに変化する事はないと思うが、そこはどう描いて行くのか?が気になっている。

 

こちらの原作者は前に紹介した『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』と同じ方らしい。

あちらは特に悪女だとは思わないが、こちらの転生する前の王女は本当に悪い。

悪女や悪役令嬢ではなく本気でクソである。

 

#天壱 #悪役令嬢 #ピッコマ #アニメ化

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『姉妹』〜異世界で姉に名前を奪われました〜

自分は非常に家族の縁の薄い人間だ。

父は高校時代に旅立ち、母は自分が就職してすぐに父の元へ行った。

そしてひとりっ子である。

30歳の時に結婚したが、妻も若くして鬼籍に入り子供は居なかった。

今は自分も病を得てひとり寂しく療養生活を送っている。

かなり前、会社の女性の同僚が姓名判断に凝っていて

「貴方の苗字って家族の縁が薄いみたいよ」と言われたが、そんなのは自分にはどうしようもない事なので知らん。としか言いようがない。

ファミリーネームというのはどこの国でも気軽には変えられないはずだし。

 

前に書いた【余命わずかの脇役令嬢】を読む時にも思うのだが、家族という存在に胡座をかいてはいけないと思う。

大切な人が明日も隣にいるとは限らないのだから。

こちらの話もまだ途中までしか読んでいないので、姉が何をどう考えていたのかはハッキリしていないのだが、両親や自分(姉)の好きな相手が妹の方を好きだ…と思い込んでいるようで、妹の話に出て来ていた「セシル」を奪うために画策しているようだ。

好きな相手はハッキリそう言ったようなので思い込みではないだろうが、両親はそうではないだろう。

家族というのは(自分は伝えているつもり・相手も分かってるはず)ですれ違う事が多いかも知れない。

人間は話し合わなければ分かり合えない-時には話し合っても分かり合えないが-生き物なのに。

家族というものに対する甘えがどうしてもあるのだろう。

両親からだけではなく、この姉の方も分かり合おうという努力はしていないように思う。

姉は怠惰で傲慢で悪知恵だけは回るタイプのようで、妹は勤勉で献身的なタイプとして描かれている。

 

その身勝手な思い込みで相手の人生を奪おうとしたり潰そうとしたりするのが、家族の怖い所でもあるのだろうと思う。

生き物で溢れかえるこの世に生きているなら、そして愛されたいと思う家族がいるなら、心を伝える努力はして欲しいものだ。

取り返しがつかなくなってからでは遅いのだから。

 

ネットで少女マンガを見ているとこういう姉妹での揉め事を扱った作品はタイトルだけ見ていても結構な数があるので、姉妹というのは大変なのだろうと思う。

男同士だと父の後継者等の権力争いに走っているパターンが多いようだから…男は単純なのだろう。

姉妹どころか男の兄弟も居ない自分にはイマイチ理解出来ない部分がある。

学生時代、友人に

「お前はひとりっ子だから半人前だよな」と言われて結構傷付いたのを思い出して、この歳になっても我ながら女々しいな…と反省したりしている。

#ピッコマ #少女マンガ

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『勇者』〜異世界帰りの元勇者ですが、デスゲームに巻き込まれました〜

タイトル通りの物語。

異世界で魔王を倒して現実世界に帰還した勇者の物語。

顔は可愛いが、ちょっと…いやかなり残念な感じの女神に愛されているらしい。

基礎の身体能力も勇者なので異様に高く、魔法もスキルも異世界と同じように使えるのでいや、強い強い(笑)。

 

最初の修学旅行編は良かったが、それ以降は少しだらけた…というか、規模が小さくなって緊張感がなくなってしまった。

尻すぼみ…という言葉が合っていると思う。

異世界から召喚されて嬉しそうな龍は可愛かったので、他の獣も(いるなら)召喚して欲しかった。

 

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『最強』〜即死チートが最強すぎて異世界のやつらがまるで相手にならないんですが〜

「死ね」

これだけで敵を殲滅出来る。

これ以上の最強がどこにあるというのか。

 

2024年2月現在、テレビアニメ放送中。

 

主人公の高遠夜霧は国で保護観察(管理)されていた最終兵器であり[神]に近い存在。

彼に殺意を向けた者は漏れなく彼から殺意を返され生命維持活動を停止され即死する。

苦しまずに一瞬で死ねるのだからある意味優しいかも知れない。

 

そんな彼が通っていた高校のバスに乗っていたクラスメイトごと異世界に召喚され「賢者候補」の試練に巻き込まれる所から話は始まる。

すでに他の能力を持っていた者たちには異世界の横暴な賢者たちから付与されるチート能力が付与できないため、落ちこぼれ扱いされて荒野に置き去りにされるのだが、夜霧には最初に書いた最強の特殊能力があるので、当然、余分なチート能力は授からない。

 

世の中に『厨二病』という言葉があるというのを知ったのはだいぶ前だが、ラノベにはその厨二病を彷彿とさせる(特に魔法の詠唱等)読んでいて恥ずかしくなるような設定が多い物もあるのだが、この即死チートは読んだ時に「思い切ったなぁ」と思った。

「死ね」なのだ。

ただこれだけ。

若い頃、仕事で無理難題を捩じ込んで駄々をこねる顧客等に当たると正直(こいつ死んでくれねえかな)と思った事もある。

ただ「死ね」とまでは思わない。

こちらに殺意までは向けられていない事は理解しているからだが、死んだ方が世の中のためになるんじゃないか?と思ってしまう相手は世間には確かに存在する。

それを実行に移すかどうかはきちんと育てられるかどうかによる、とは思う。

その限りではないという事ももちろん知っている。

人間でもネズミでも追い詰められたらどう行動するかは自分でも分からないものだから。

 

夜霧は高遠朝霞さんという女性に情緒を育てられ、手当たり次第に自分の能力を使う事が良くない事をきちんと理解している。

人間として正しく生きている。

「気に入らないって理由だけで殺すのはちょっと…」と話す彼は高校生なのに、就職していた若い頃の俺よりも大人だ(笑)。

自分たちの能力や立場を過信して悪用するこの物語の世界の賢者やその候補たちより余程人間である。

そういう連中ほど、自分より強い相手を必要以上に恐れ敵視するのだが。

 

まだ連載中であるこの作品がどこに帰結するのかは分からないが、人間として正しく生きようとする者を排除したり封印したりする終わりにならないで欲しいと願っている。

実はアニメは主要キャストに苦手な声優さんがいたので見ていない。

ヒルクライムさんのOPの歌はかっこいい。

#異世界 #賢者 #即死

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『憑依』〜KILL THE LIGHTS〜

本日ピッコマにて完結した作品。

本編は51話で完結。

外伝を含めても全69話と比較的短かった。

(韓国のウェブコミックの『外伝』のあり方がよく分からない…)

 

タイトルは直訳すると「ライトを殺せ」

本来の意味は「灯りを消せ」

ハリウッドが舞台の話なので、この場合のライトは寝室の灯りとハリウッドスターの浴びる華やかな照明のダブルの意味があるのではないか?と勝手に解釈している。

 

子供の頃に誘拐され、それがトラウマになっている美貌の実業家ノア・レイカールトン。

彼の誘拐事件を題材とした映画に主演した天才子役ヘイリー・ラスクはハリウッドの子役にありがちな、成長期を乗り切れずに酒とドラッグに溺れる昔の栄光に縋り付くだけの底辺の役者になっていた。

そのヘイリー、何を思ったのかノアに大勢の目の前でプロポーズをするが鼻であしらわれて大恥をかいた挙句、酒とドラッグのoverdoseで死亡する。

 

ノアは誘拐犯から助けてくれたメイソン・テイラー(見た感じ東洋系・武器の扱いにかなり長けているので傭兵?か?)を20年間心密かに慕い続けている。

そのメイソンは仲間に裏切られて後ろから撃たれ生命を落とし…たのだが、死ぬ前に怪しげな秘術?のようなものに手を出していたヘイリーの所為(だと思う)で、ヘイリーに憑依させられてしまう。

この辺りはヘイリーが具体的に何をしたのか最終話まで明らかにはされなかったが、オカルティズムな背景があるのは間違いないと思う。

 

メイソンの死でショックを受けるノアはあるドラマの撮影現場で、軽蔑し毛嫌いしていたヘイリーの中にメイソンの面影を感じ、少しずつ増える接触の中でその思いを深くして行き…最終的には確信を抱くに至る。

確信した後、メイソンに甘えるノアは大柄で筋肉質な立派な青年であるにも関わらず可愛いと思える面もある。

そう。

ノアは最初に会った時からずっとメイソンに甘えたくて甘えたくて仕方がなかったのだ。

甘えたいだけではない。

メイソンにただただ甘やかして欲しかったのだ。

欲しいものは何でも手に入る立場に居たノアが望んでもどうしても手に入らなかったメイソンに甘えて甘やかされたかった。

そして何がなんでも彼にとっての[特別]になりたかった。

たった一つの心からの願いが叶ったのだから、甘えてくっ付いて腕の中に閉じ込めたがるのも仕方がない。

この少年時代からの拗らせ気味の想いの深さは先日紹介した『オッサンの異世界はなぜかハードモード』の皇帝とオッサンの関係に似ている。

 

見た目は完璧。

その上、実業家で投資家で財力も影響力もあり、アメリカの名家のサラブレッドであるノアは実はかなり屈折した人物。

秘書のフィールですら「上流階級のチンピラ」と評する(笑)。(個人的にこの表現は当たっていないと思う)

ノアは表面的には神や天使のようなのに、実はヘイリーの死も平気で利用するしこの世から邪魔な人間を抹消するのに何の躊躇いも見せない(メイソンを撃ったアーロンとアシュリーを撃つ時も笑顔で引き鉄を引ける)冷徹な人間なのだが、メイソンに対する執着は途轍もなく、正直、メイソン以外の人間はどうでも良い。と思っている節もある。

朴念仁の上、唯一の家族の弟を殺されてからは気ままに独りで生きて来たメイソンにはノアの怒りの沸点がとても分かりにくいらしく付き合い始めてからかなり苦労している。

ノアはメイソンに対する執着は全く隠さないので、天使・神と称されていたノアの本性はだんだんと世間に周知されて行き…そこまでならホンモノだな。と、何か変に納得してしまった(笑)。

最後のシーンで、メイソンに頬を撫でられながら幸せそうに笑うノアはとても甘ったれた可愛い笑顔で、思わず「良かったな」と声をかけたくなった。

 

ノアから向けられるまっすぐな想いと執着に戸惑いつつも喜びを感じて行くメイソン。

実は彼も好みの基準がノア(金髪・緑の目)である事をかなり後になってから気付いている。

そんなメイソン(見た目はヘイリー・ラスク)はいつの間にか実力派俳優への道を歩き始め、最終話の少し前には助演男優賞を受賞するまでになっている。

結局、作品が始まった頃にメイソンを霊視?したヘイリーが

「あんたなら…俺の望みを叶えてくれる」と言った通りに、ヘイリーはメイソンが憑依した事によって切望していたスターの座もノアの愛も手に入れた事になる。

 

ノアとメイソンの2人が幸せになったように見えるラストだったが、全てを思い通りにしたのは実はヘイリーだったのかも。

ダメな人間ではあったけれど周りから思われているよりはお人好しで、幼少期から親戚に食い物にされ、生きたいように生きられていなかったヘイリーは身体だけではあるが生命を賭けた賭けに勝てたのかも知れない。

 

残念だったのは62話の拳銃はリボルバーではない…という事だろうか(笑)。

拳銃の事など全く知らない人なのだろうな…とちょっと笑ってしまった。

(自分も詳しくはないが、オートマとリボルバーの違いくらいは分かる。画像の銃はオートマ)

 

#ハリウッド #ピッコマ #オカルト

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『誓願』〜あの日の誓いを果たすために〜

ウェブコミックには『中華BL』というジャンルがあるらしい。

文字通り中国発のBLで何となくではあるが歴史物が多い気がする。

そして禁止されているのか?口付けの口元は隠されるようになっている。

それ以上のシーンがOKで口付けがダメ…という基準がよく分からない。

 

そんな中の1つがこちら。

主人公の成王(名前は景韶)は前世、自分の周りには目も心も向けずに戦に明け暮れ、結果的に継母とその息子たちの陰謀で若くして生命を落とす。

その最期に生命をかけて寄り添ってくれた正妻ではあるけれど男妻の暮含章(字名は君清)に

「もし生まれ変わる事が出来たら、お前を心から大切にする」「一生をかけて(今世での含章への行いを)償う」と誓う。

 

その願いが届き、成王は含章と婚姻した初夜の後に回帰させられる。

ただ、この初夜までの間に成王は含章に結構色々やらかしてしまっているので、含章の成王への感情はマイナスから始まる。

成王はこの時点で含章への信頼度はほぼマックスだが愛情はまだほとんどない。

含章は見た目はほっそりとして麗しい女顔の青年なのだが、中身は結構豪胆で気も強くナヨナヨしていない。

その上で健気で優しく周りを冷静に見て的確に判断の出来る聡明な人物である。

実際に学問の分野でも国でトップクラスの頭脳がある。

ずば抜けた身体能力の持ち主だが単純で浅慮な所謂[脳筋]の成王とはとても良いコンビと言えるだろう。

(成王の名誉のために申し添えると別にバカではない。ただただ真っ直ぐなだけの人)

最後まで自分に寄り添ってくれたから、という理由で大切にするつもりだった含章の[内面]も知って行くに連れて、本気で含章に心惹かれて「君清、君清」と追い掛ける成王が何とも可愛らしいのだ。

先ほども書いた通り含章の感情はマイナスから始まっているので、早い段階で含章を愛するようになった成王との気持ちの釣り合いが中々取れない。

含章の心も身体も全てを手に入れたい成王の奮闘ぶりがいじらしい…。

 

2人ともとても誠実な人間なので他の相手に目を向けるような事は一切なく、愛情が生まれる前からお互いを大切に思い遣っている。

(成王に至っては3人居た側室たちも追い出して奥を解体してしまう)

その姿がとても安心出来る。

好きな相手には誠意と思い遣りを持って接するべきだ。と改めて思う。

自分の気持ちを押し付けるのは愛情ではない。

相手を護り生きやすい環境にしようと考え手を尽くすのが愛情だろう。

この2人を見ているとそれを思い出す。

 

自分が事なかれ主義で揉め事が嫌いな人間なので、お互いを周囲の揉め事から遠ざけようと尽力するカップルというのは良いな…とつくづく思う。

成王の立場が立場なので周りのトラブルは避けられないのだが、信頼し合ってそれに立ち向かうというのは今の自分にはとても羨ましいのだ。

 

それにしても継皇后(成王の継母。皇后だった成王たちの母を毒殺してその座を手に入れた)と大夫人(含章の父の正妻)は自分と血が繋がらないのにデキる疎ましい息子たちを結び付ける事で、存在を貶めようとして逆に最強のコンビを生み出してしまったわけで、そこが最高にザマミロな展開だと言えるかも知れない。

#中華BL #ピッコマ #コミックシーモア #歴史物

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