半世紀ほど生きて来て[ラノベ]なるものを手にした事はなかった。
これはタイトルにオッサンと入ってるから現役オッサンの自分でも読みやすいかも?
あとライトなノベルなのだし、頭があまり回らない今は読むのにいいか?と思って手を出したのがこちら。
流行りの[異世界]にも[転生]にも触れた事はなかったので、ああ、こういうものなのか…と読み進める事しばらく。
(あれ?)と気付いた。
(これ、もしかしてBLってヤツ?)
遅い。全くもって遅い(笑)。
作品紹介欄にはジャンルが書いてあるのだがそんなとこは全く見ていなかった。
しかし買ってしまったものは仕方ない。
読むしかない。
読むしかないと思っていたのだが…
男性同士のそういう行為はこちらに置いておいて、良い話なのだ。
少年時代のある事件で感情を失った孤独な青年皇帝の元に[熱処理]のために送られた奴隷の少年。
この世界の人間には角が生えており(鬼なのか?)角が多い(現皇帝は史上類を見ない4本角)ほど高貴な存在となるが、角が多いとその分熱が溜まりやすくなり、精神と身体両方に悪影響が出る。
特に精神の崩壊を招き、無意識に暴力行為に及ぶ『暴走』が起きる事があるので、日常的に熱の処理をしなければならない。
実はこの少年が皇帝が最も愛するオッサンの転生者で、彼に愛する人の面影を感じた皇帝は徐々に感情と何より大切な『僕の世界』を取り戻して行く…という話。
この若い皇帝の孤独。
愛する人を自分の所為で死なせてしまったという後悔。
もう居ない人に会いたくてたまらない切なさ。
その心の内がよく描かれていて、似た経験のある自分にはとても響いた。
機会がなく触れて来なかったが、ライトノベルとは言ってもきちんと起承転結はあるし構成もしっかりしている。
捨てたもんじゃない。
そして自分は意外な事にBLにもさほど嫌悪感を抱かずに読めるんだ。と、色んな気付きをもたらしてくれた作品。
ただ、この作者さんに普通に筆力があっただけで、他のライトノベルには眉を顰める事も多々出て来るのだが、それはまた別の機会に。
この作者さん、他の話も読んでみたいのだが今の所この作品のみなのが残念。
活動再開を期待している。
あとオッサンとは言っても主人公(の前世)はまだ30代半ばくらいなので、どっぷりオッサンの自分からするとまだまだ若者である。
#BL
#コミックシーモア